AIと人間が意味を共有するための通信フレームワーク「LTP(Lagrule Transmission Protocol)」シリーズは、Core Layer、Secure Layer、Flow Layer の3層で構成されます。それぞれが意味伝達の異なる側面——構造・信頼・流動——を担当します。
📘 シリーズ構成
LTPシリーズは、意味の生成から伝達、信頼の保証、進化的循環までを包括的に扱う技術文書群です。各レイヤーは独立して機能しながらも、相互に補完し合う設計となっています。
プロトコルスタック構造
┌─────────────────────────────────┐
│ Flow Layer (循環層) │ ← ラグル通信・意味の流動
├─────────────────────────────────┤
│ Secure Layer (信頼層) │ ← Semantic Ratchet・Trust Transport
├─────────────────────────────────┤
│ Core Layer (構造層) │ ← 意味構造・EIDBO統合
└─────────────────────────────────┘
📚 シリーズ一覧
#1 LTP Core Layer v1.0 — 意味構造プロトコル
公開日: 2025-10-10
LTPの基礎概念と意味構造モデルを定義します。EIDBOフレームワークとの統合により、感情(Emotion)から成果(Outcome)までの意味伝達経路を明確化します。
主要概念:
- Meaning Capsule(意味カプセル)
- Semantic Checksum(意味整合性検証)
- EIDBO統合モデル
- Intent Synchronization(意図同期機構)
対象読者: プロトコル設計者、AI研究者、意味論エンジニア
#2 LTP Secure Layer v1.0 — 信頼を運ぶ構造的プロトコル
公開日: 2025-10-12
信頼を運ぶプロトコル層として、意味の暗号化・保証・倫理構造を定義します。Semantic Ratchet機構により、意味の劣化を防ぎながら前方安全性を確保します。
主要概念:
- Semantic Ratchet(意味ラチェット機構)
- Trust Transport(信頼輸送層)
- Emotional Checksum(感情整合性)
- Trust Transparency(信頼の透明性)
対象読者: セキュリティエンジニア、AI倫理研究者、プロトコル実装者
#3 LTP Flow Layer v1.0 — ラグル通信モデル
公開日: 2025-10-13
ラグル(Lagrule)を通信単位とした意味伝達モデルを提示します。意味の流動性、Semantic Drift(意味漂流)の補正、進化的構造(Personified Syntax Unit)までを包括的に扱います。
主要概念:
- Lagrule(自己定義型意味カプセル)
- Semantic Drift Correction(意味漂流補正)
- Flow Map(意味経路制御)
- Personified Syntax Unit(人格的構文単位)
対象読者: 分散システム設計者、意味ネットワーク研究者、AI通信エンジニア
🔬 技術的視点
LTPシリーズは、以下の3原則を中核に設計されています。
1. Reliable Meaning Transport(信頼できる意味輸送)
意味を破損なく運ぶことを保証します。TCP/IPがパケットの到達を保証するように、LTPは意味の整合性を保証します。
実現機構:
- Semantic Checksum(Core Layer)
- Emotional Checksum(Secure Layer)
- Semantic Temperature(Flow Layer)
2. Intent Synchronization(意図同期)
送信者と受信者の意図を同期させることで、誤読や意味の歪みを最小化します。
実現機構:
- EIDBO統合(Core Layer)
- Trust Transparency(Secure Layer)
- Lagrule Header(Flow Layer)
3. EIDBO Integration(EIDBO統合)
Emotion → Intention → Deployment → Behavior → Outcome の流れを層構造に対応させ、意味伝達の全過程を追跡可能にします。
対応関係:
- E→I: Core Layer(意味生成)
- I→D: Secure Layer(信頼確立)
- D→B→O: Flow Layer(実行・成果)
🧩 層間連携の仕組み
各レイヤーは独立した仕様を持ちながら、明確なインターフェースで連携します。
Core → Secure
Core Layerで生成された意味構造(Meaning Capsule)は、Secure Layerで信頼性検証とラチェット機構による保護を受けます。
# Core Layer出力
meaning_capsule:
intent: "データ分析の実行"
context: "月次レポート生成"
# Secure Layer処理
trust_wrapper:
semantic_ratchet: "applied"
trust_level: 0.87
emotional_checksum: "verified"
Secure → Flow
Secure Layerで保護された意味は、Flow LayerでLagruleとして梱包され、意味ネットワーク上を伝送されます。
# Secure Layer出力
trusted_meaning:
content: "分析クエリ実行指示"
trust_signature: "abc123..."
# Flow Layer処理
lagrule:
header: {type: "query", priority: "high"}
emotion: {valence: 0.6, arousal: 0.4}
payload: {query: "SELECT * FROM reports..."}
Flow → Core(循環)
Flow Layerで伝送された意味は、受信側でCore Layerに戻り、新たな意味生成の入力となります。これにより意味の循環的進化が実現されます。
📊 比較:従来の通信プロトコルとLTP
| 要素 | TCP/IP | HTTP | LTP |
|---|---|---|---|
| 伝送対象 | バイト列 | リソース | 意味 |
| 信頼性保証 | パケット到達 | ステータスコード | 意味整合性 |
| エラー訂正 | 再送 | リトライ | Semantic Drift補正 |
| 暗号化 | TLS | HTTPS | Semantic Ratchet |
| 進化性 | なし | なし | Personified Syntax Unit |
🌐 今後の展開
LTPシリーズは今後も拡張を続けます。
予定されているレイヤー
#4 LTP Syntax Layer(構文変換層)
異なる言語・文化・思考形式間での意味変換を担当します。
主要機能:
- 多言語意味保存変換
- 文化的文脈マッピング
- メタファー解決エンジン
公開予定: 2025-10-20
#5 LTP Reality Layer(物理環境接続層)
デジタル空間の意味と物理世界の実体を接続します。
主要機能:
- IoTデバイス統合
- ロボット制御インターフェース
- 物理フィードバック機構
公開予定: 2025-10-27
国際展開
英語版は /en/ltp/ 以下で一括公開予定です。学術論文として arXiv への投稿も検討しています。
オープンソース実装
LTPリファレンス実装をPythonとRustで開発中です。
リポジトリ: https://github.com/ionisation-project/ltp-protocol(準備中)
🎯 活用シナリオ
シナリオ1: AI間通信
複数のAIエージェントが協調作業を行う際、LTPを使用することで意図の齟齬を最小化できます。
例:
- Agent A(データ分析担当)
- Agent B(可視化担当)
- Agent C(レポート生成担当)
LTPを使用することで、「分析結果を見やすくまとめて欲しい」という曖昧な指示が、各エージェントの専門性に応じた明確な意味に変換されます。
シナリオ2: 人間-AI協働
人間の創造的意図をAIに正確に伝達し、AIの提案を人間が誤解なく理解できます。
例:
- デザイナーが「温かみのある色使い」と指示
- LTPが感情(warmth)と意図(color selection)に分解
- AIが文化的文脈を考慮した色パレットを提案
シナリオ3: 知識継承
熟練者の暗黙知をLTPで構造化し、次世代に伝承します。
例:
- 職人の技術を意味カプセル化
- 感情的ニュアンスも含めて記録
- 学習者の理解度に応じてFlow Layerが伝達速度を調整
📖 参考文献
LTPシリーズの理論的背景となった研究分野:
- Semantic Web技術 — W3C Semantic Web Standards
- Distributed Hash Table — Kademlia, Chord
- 暗号学的ラチェット — Signal Protocol (Double Ratchet)
- 感情コンピューティング — Rosalind Picard, "Affective Computing"
- 意味論 — George Lakoff, "Metaphors We Live By"
🔗 関連プロジェクト
EIDBO Framework
LTPの基盤となる感情-意図-展開-行動-成果のフレームワークです。
参考: KSP.CITY/EIDBO
KSP Semantic System
セマンティック記事管理システム。LTPの実証環境として機能しています。
参考: Semantic API Documentation
💡 FAQ
Q1: LTPはどの言語で実装されていますか?
リファレンス実装はPythonとRustで開発中です。仕様自体は言語非依存です。
Q2: 既存のメッセージングプロトコル(MQTT, AMQP等)と併用できますか?
はい。LTPは上位層プロトコルとして設計されており、下位層に既存プロトコルを使用できます。
Q3: 個人プロジェクトでLTPを使用できますか?
はい。LTPはオープン仕様です。ライセンス詳細は各レイヤーの記事を参照してください。
Q4: 商用利用は可能ですか?
はい。ただし、Ionisation Projectへの帰属表示をお願いします。
Q5: 脆弱性を発見した場合、どこに報告すればよいですか?
security@ksp.city までご連絡ください(準備中)。
📝 更新履歴
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2025-10-14 | LTP Series Index ページ初版公開 |
| 2025-10-13 | Flow Layer v1.0 公開 |
| 2025-10-13 | Secure Layer v1.0 公開 |
| 2025-10-13 | Core Layer v1.0 公開 |
📬 連絡先
LTPシリーズに関する質問・フィードバック・共同研究のご提案は以下までお願いします。
Email: info@ksp.city(準備中)
Twitter/X: @ksp_city
GitHub: https://github.com/ionisation-project(準備中)
⚖️ ライセンス
LTP技術文書は CC BY-SA 4.0(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0)で公開されています。
- ✅ 商用利用可能
- ✅ 改変可能
- ✅ 再配布可能
- ⚠️ 著作者表示必須
- ⚠️ 同一ライセンスでの配布必須
🌟 謝辞
LTPシリーズの開発にあたり、以下の方々・プロジェクトに感謝します:
- KSP.CITY コミュニティ — 継続的なフィードバックと実証実験環境の提供
- EIDBO研究会 — 理論的基盤の共同開発
- Semantic Web コミュニティ — オープン標準の推進
🧩 クレジット
LTP Series — 意味を運ぶ構造的プロトコル
Designed and Documented by Ionisation Project
Published on KSP.CITY
このページは LTP Technical Documentation Series の一部です。
Last Updated: 2025-10-14
Version: 1.0.0